伝統の淡路島産タマネギが『魔法の石鹸』に!廃棄される “皮” から生まれた逆転の特産品ストーリー
瀬戸内海に浮かぶ淡路島は、「国生みの島」として知られ、温暖な気候と豊かな自然、美食に恵まれた人気の観光地です。その一方で、日本有数のタマネギの産地として、長く日本の食を支えてきました。
今回、淡路島産タマネギを使ったオリジナル石鹸の開発をきっかけに、あわじ島農業協同組合 専務理事・乙井康弘氏にインタビューを実施。淡路島の農業が歩んできた変化や、地域の魅力を新たな形で発信する取り組み、そしてオリジナル石鹸に込めた想いについて、お話を伺いました。
淡路島のタマネギに込められた想いと挑戦
あわじ島農業協同組合 専務理事・乙井康弘氏インタビュー**

全国有数のタマネギ産地、淡路島のタマネギ栽培の背景
淡路島は水捌けのよい土壌に加えて年間降水量1600mm、平均気温16℃〜17℃とタマネギの栽培に適した環境に恵まれ、50年前は年間300万ケース(1ケース20kg)もの出荷量がありました。しかし現在は高齢化や離農により減少傾向にあります。
当時は、畜産(乳牛や和牛)とタマネギ栽培との複合経営が多く、特に但馬牛の素牛(もとうし)を県外の松坂などへ出したり、畜産もとても盛んでした。
現在は漁業も含め第一次産業全体が縮小しているのが現状です。とはいえ、農業者は『早生』、『中生』、『晩生』と年間を通してタマネギを栽培し、タマネギの出荷量はしっかりと安定しています。
捨てていた『皮』が宝の山に見えたあの日。
淡路島のタマネギは収穫後タマネギ小屋で吊るし、じっくり乾燥させて甘みを引き出します。
『おいしい』の先にあるもの。タマネギの『皮』の有効利用
淡路島のタマネギは全国的ブランドですが、その裏側で長年、私たちの頭を悩ませていたものがありました。それが加工の際に出る膨大な『タマネギの皮』です。
年間100トン以上。これを産業廃棄物として処分するだけで、年間2,000万円近い経費がかかっていました。「お金をかけて捨てるのではなく、なんとか有効活用できないか」。模索する中、神戸大学農学部研究課でタマネギの皮に含まれる成分、ケルセチンの研究をしていらした金沢和樹先生に出会いました。私たちはタマネギの皮に新たな商品価値が生まれることに胸が膨らみました。

農薬の壁と、大学との共同研究に奔走の日々
最初は特定保健用食品(トクホ)など飲料化を目指しましたが、大きな壁が立ちはだかりました。『残留農薬』です。タマネギの皮は非常に繊細で、当時の農薬成分が細胞の奥まで浸透しており、水洗い程度では除去しきれなかったのです。
そこで私たちは、使う農薬そのものを基準の厳しいもの、より安全なものへと変更し、徳島大学や兵庫県の試験場と連携し、水分除去や裁断の装置を特注で開発しました。それでも『口にいれるもの』としてのハードルは高く、一時は諦めかけました。

タマネギの皮の色をイメージした石鹸。(フェニックス石鹸工場)
『石鹸ならいける!』固形石鹸の商品化への取り組み
そんな時、神戸大学の金沢先生から「石鹸の原料ならどうか」という提案をいただきました。肌に触れるものとしての安全基準をクリアし、INCI名(化粧品成分の国際名称)も取得しました。タマネギの持つ優れた成分(ケルセチンなど)を活かす道が見えた瞬間でした。

型打ち工程(フェニックス石鹸工場)
石鹸工場からは美味しそうなオニオンスープのような香りが漂っていました。
フェニックスさんを紹介していただき、タマネギの皮をパウダー状にして石鹸に配合してもらいました。石鹸工場がタマネギの匂いでいっぱいになるほど、贅沢に成分を練り込んでもらいました。最初は「匂いが残るのでは?」と心配されましたが、それが逆に「リアルなタマネギの石鹸」としてお客様に信頼される理由になりました。

NEW オニオンソープ タマネギの断面をイメージしたデザインも素敵です。店頭ではかわいいポップシールも貼られています。是非手に取ってみてくださいね!
NEW\オニオンソープ/誕生!!女将さんから広まる「しっとり」の輪
初代『淡路島たまねぎ石鹸』から18年、当初は皮のみを使用していましたが、農薬の希釈や成分バランスを考慮し、この度のNEW『オニオンソープ』は皮と実の成分をエキス化して配合しています。これにより、タマネギの匂いはほとんどしなくなり、匂いが苦手な人たちにも喜んでお使いいただけるようになりました。
現在、この石鹸は淡路島の旅館の女将さんたちの間で非常に高い評価をいただいています。「洗い上がりがしっとりする。」「一度使うと、もう他の石鹸には戻れない」そんな『オニオンソープ』ファンが続出しています!女将さん同士のネットワークで口コミが広がり、淡路島観光の定番土産の一つとして定着すればいいなと思っています。
JAブランドの「安心感」を全国へ
私たちの強みは、JAという『顔の見える生産者』の看板を背負っていることです。タマネギ一筋でやってきた私たちが、土づくりからこだわり、育て上げたタマネギから作った石鹸。今後は、ネット通販や都市部での展開も強化していきたいと考えています。『タマネギの皮を捨てるのはもったいないという素朴な動機から始まったこのプロジェクトが、淡路島の農業を元気にし、使う人の肌を笑顔にする。そんな循環をこれからも守り続けていきたいですね。

インタビューを終えて。
乙井専務理事様、購買部の皆様、この度はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。時代とともに移り変わってきた淡路島の農業や畜産のヒストリーをお聞きする機会を頂けて幸いでした。オニオンソープの今後の発展を楽しみにさせていただきます。